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2021.5.25

来たれ起業志望者たち! デライト・ベンチャーズのVenture Builder(VB)とは?

Ryo Bando
Ryo Bando
Managing Partner
来たれ起業志望者たち! デライト・ベンチャーズのVenture Builder(VB)とは?

前回に引き続き、デライト・ベンチャーズのベンチャー・ビルダー(Venture Builder、以下VB)についてVB事業責任者の坂東 龍が寄稿します。前回は一般的なVBの仕組みや企業例などの概要とデライト・ベンチャーズがVBに取り組んでいる理由・背景を紹介しました。

今回はデライト・ベンチャーズのVB事業の内容(方針や仕組み等)について詳しく紹介したいと思います。

日本では熱意や才能のある人たちのキャリアにおいても「起業」はまだまだ特別扱いされています。私たちデライト・ベンチャーズは、より良い社会をつくることに使命感を持つ起業家がもっともっと多く活躍することが必要だと思います。挑戦者たちが自由で大胆にチャレンジできるよう伴走・サポートし、「起業」を当たり前にしたいと思って、私たちは下記のようなVBの仕組みを構築・運営しています。

デライト・ベンチャーズのVBの概要

デライト・ベンチャーズのVBは、DeNA社員やその他企業等で活躍されている優秀な起業家候補(EIR:Entrepreneur in Residence/客員起業家)を対象にした、新規事業立ち上げ・起業を支援する事業です。

起業志望者は、まずはデライト・ベンチャーズのメンバーと共にアイデアを企画・検証します。その後VB内でプロダクト開発・運営のための予算を獲得しデライト・ベンチャーズやDeNAに所属するエンジニアやデザイナー等の開発メンバーとチームを組み事業を立ち上げます。外部VCから調達を受けられる程度に事業進捗したら、外部VCとデライト・ベンチャーズの出資を受けてスピンアウトします。この時創業者は新会社の株式のマジョリティを保有します。

その後は通常のスタートアップと同様にIPOや大型M&Aを目指しますが、この後もデライト・ベンチャーズもVCとして出資・支援を継続します。

VBの運営方針

VBの事業立ち上げや投資判断・方法については、VBの前身の組織であるDeNAのインキュベーション部門の運営方針の多くを継承しています。リーンに検証して立ち上げ、客観的なデータ・事象を見て投資判断し、PO(Product Owner :事業責任者)が事業の意思決定権を持って推進する、という3点を主なポリシーとして運営しています。

  1. "リーン"に検証して立ち上げる
  2. 顕在化した大きな課題やユーザーニーズを捉えた事業アイデア仮説をもとに、その周辺のファクトを確認しつつ、限られた予算の範囲内でMVP(Minimum Viable Product)という必要最低限のプロダクトをつくり、市場性や提供価値の有無などの検証をクイックに繰り返します。
  3. 客観的市場データ・顧客(消費)データで投資判断する
  4. その事業案が解決しようとしている課題の規模や提供価値の客観的事象をウォッチし、また上記MVPで測定したユーザーアクションデータを元になるべく客観的材料を元に投資判断をします。プロダクトをリリースした後の追加投資も同様です。また、スピンアウトや出資可否も外部VCから調達を得られる状態をもって判断します。
  5. 事業責任者(PO:Product Owner)がオーナーシップを持つ
  6. VB内の予算権限はデライト・ベンチャーズのパートナーにありますが、それ以外は全てPOが主体となって判断を下していきます。チーム組成から、最終決定まで、VB支援メンバーのアドバイスも参考にしながらにPO自身が最終判断します。新会社のスピンアウト時には創業者として株式のマジョリティを譲受することになります。

デライト・ベンチャーズのVBの大きな特徴として、スピンアウト時にPOが創業者として過半数の株式を極めて廉価で譲受でき、事業成功の際には莫大な経済インセンティブも得ることができることです。従来の企業内の新規事業責任者は事業が成功しても給与で評価されるのみで経済インセンティブを得ることは稀だったと思いますが、このスキームにより名実ともにオーナーシップを持って事業にコミットしてもらうことと、起業への意欲が高まることも期待しています。

企画立案からスピンアウトまでのフロー

次に、VBにおいて事業の企画立案からスピンアウトするまでのフローについて少し具体的な説明をします。

1:企画立案

まずは、対象とするユーザーの課題(ニーズ)仮説とそれに則したソリューション仮説をアイデアとして明文化します。アイデアは起業家候補者がゼロから考える場合もあれば、VB内でストックしてきた様々な市場調査や膨大なアイデアリストを参考に立案するもできます(約1年間で500件以上の案がリスト化されています)。VB発で展開する事業のタイプとしては、社会・市場において顕在化している大きな課題を解決する「課題解決型」が主たる投資対象です。加えて、急伸するユーザー行動・現象を捉えてそのトレンドを追随し10X(テンエックス)な価値体験を提案する「価値提案型」も対象としています。

2:検証

次にアイデア仮説を持ちながら、ユーザーや市場・競合を深く理解するためにヒアリングやデスクトップリサーチをします。ここで重要なのは机上で論理的・定性的な理解にとどまらず、MVPを作り実際に対象ユーザーに利用してもらい「ヒキがあるのか?」「課題を解決して価値を提供できるのか?」を定量データで繰り返し検証することです。このフェーズにおいてもVBのメンバーが様々なサービス立ち上げで蓄積してきたノウハウを活用し検証の支援をします。上記の方針の通りリーンに検証を進めるので予算は数十万円程度と少額ですが仮説確認が進むごとに必要な予算を追加していきます。

3:プロダクト開発・運営

2で良い結果が出たら、デライト・ベンチャーズやDeNAの開発メンバーとチームを組んでプロダクト開発に進みます。初期プロダクトの開発と初期トラクションの検証のための予算は約1,000〜1,500万円程度(人件費込)で、3〜4ヶ月程度で開発しプロダクトリリースします。リリースをした後は、初期コアユーザーの満足度や熱量を表す先行指標をウォッチし、ユーザー理解を深めながらプロダクトを改善していきます。このフェーズにおいてもVBは上記チーム組成のみならず、事業アドバイス・初期マーケティング・経理/法務等のバックオフィス業務、子会社設立、オフィス提供などの支援を行い、そのコストを立替負担(スピンアウト後に精算する)します。

4:スピンアウト

順調に事業成長して外部VCから資金調達できる状態になればスピンアウトです。累積予算5,000万円の消費まで(およそ1年程度)をVB卒業の目処としています。スピンアウトが見えてくると資金調達周りのためのVC紹介や資本政策のアドバイスを行います。上述の通りスピンアウト時には創業者は過半数の株式を譲受し名実ともにスタートアップのオーナーなります。スピンアウト後は、他のVCとともにデライト・ベンチャーズもニューマネーを出資し引き続きVCとして支援していきます。

来たれ、起業志望者たち!

これまで説明したようなVBの仕組みによって、熱意をもった挑戦者が自由で大胆にチャレンジできるよう私たちは伴走・サポートしています。

これまではDeNAの社員の起業をメインでサポートしておりましたが、VBの支援の仕組みや体制も整ってきましたので、積極的に社外の起業家候補の皆さんのチャレンジもどんどん支援していきたいと思っています。以下のようなスキル・経験をお持ちで起業したいと思っている方は私たちのVBに是非応募していただければと思います!

EIR(起業家)候補の募集内容

  1. 前提条件
    1. 起業の意志がある
    2. VBの支援を受けて起業したい意向がある
  2. 必要とする経験・能力
    1. 新規事業立ち上げにオーナーシップを持って推進できる経験・能力
    2. プロダクト企画・開発・運営の経験・能力
    3. マネジメント経験・能力
  3. 望ましい経験
    1. スタートアップの経営者経験
    2. 上場規模ベンチャーの事業責任者(事業部長・子会社社長・CXOなど)
    3. Exit経験
  4. その他
    1. 応募時点での起業のアイデアの有無は問いません。
    2. 雇用や契約形態についても状況や役務に応じて、手弁当、副業(業務委託)、有期雇用 (契約社員)など相談させていただきます。


(現在はリモートでの業務がメインですが、起業家も支援者もチーム一丸となって新規サービスを立ち上げています)
また次の機会に、デライト・ベンチャーズのVBで取り組む事業対象のテーマ、アイデアの出し方、検証の仕方などをご紹介しようと思います。

この話を読んで何かしら心に引っ掛かりがあった方、一緒に新規事業立ち上げにチャレンジしてみたい方は、ぜひ一度デライト・ベンチャーズにお問い合わせください!

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